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[相談]
私は会社で経理を担当しています。
当社(年間売上高20億円)では、消費税の仕入控除税額について個別対応方式により計算を行っていますが、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係る消費税について、課税売上割合により計算した仕入控除税額が当社の事業の実態を反映していないと考えられることから、課税売上割合に準ずる割合を用いて計算することを検討しています。
そこで、課税売上割合に準ずる割合の適用を受けるための手続きの概要を教えてください。
[回答]
課税売上割合に準ずる割合の適用を受けるためには、納税地の所轄税務署長に「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、適用を受けようとする課税期間の末日までに税務署長の承認を受けておく必要があります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
消費税法上、その課税期間中に国内において行った課税仕入れ等につき、@課税資産の譲渡等にのみ要するもの、Aその他の資産の譲渡等にのみ要するもの及びB課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分が明らかにされている場合において、Bの課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額は、原則として、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合(※1)を乗じて計算することと定められています(個別対応方式)。
ただし、課税売上割合に「準ずる」割合で一定の要件(※2)のすべてに該当するものがあるときは、その事業者が税務署長の承認を受けた日の属する課税期間以後の課税期間については、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額は、通常の課税売上割合に代えて、その承認された課税売上割合(課税売上割合に準ずる割合)を用いて計算した金額とすると定められています。
※1 課税売上割合は、課税期間中の「課税売上高(税抜き)+免税売上高」等の合計額を同課税期間中の「課税売上高(税抜き)+免税売上高+非課税売上高」等の合計額で除して計算します。
※2 その割合が、使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合その他課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものの性質に応ずる合理的な基準により算出した割合であり、かつ、その割合を用いて計算することにつき、納税地の所轄税務署長の承認を受けたものであることが要件となります。
課税売上割合に準ずる割合の承認を受けようとする事業者は、その用いようとする課税売上割合に準ずる割合の算出方法の内容その他一定の事項を記載した申請書(消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書)を、納税地の所轄税務署長に提出し、適用を受けようとする課税期間の末日までに税務署長の承認を受けておく必要があります。
なお、課税期間の末日までに上記の申請書の提出があった場合において、課税期間の末日の翌日から同日以後1月を経過する日までの間に税務署長の承認があったときは、その課税期間の末日においてその承認があったものとみなして、その申請書を提出した日の属する課税期間から課税売上割合に準ずる割合が適用すると定められていますが、国税庁によれば、上記の承認審査には一定の期間を要することから、時間的余裕をもって申請書の提出を行うことが推奨されていますので、ご留意ください。
[参考]
消法30、消令47、48、消基通11-5-7など
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